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平成18年度 印刷産業における環境保全対策に関する調査研究補助事業概要
本事業は、
財団法人JKA(旧 日本自転車振興会)からの競輪の補助金
を受けて実施したものです。
1.事業の目的
近年、環境問題への取組みは産業界として社会的に期待されているところであり、印刷産業においても例外ではありません。PRTR制度のスタートをはじめ、平成16年においては揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のため大気汚染防止法が改正され、化学物質を多く使用している印刷産業界では、化学物質管理の適正化に努めるとともに、化学物質の排出抑制策、処理装置の導入等が解決すべき重要な課題となっています。
そこで、平成17年度は印刷産業における化学物質の排出実態及び特殊グラビア印刷を中心にしたVOC排出処理装置の導入に向けた提言を行いました。本年度におきましては、この調査をさらに進め、VOC排出処理装置の仕様の具体化と化学物質排出処理装置の印刷企業への導入促進をめざし、わが国印刷機械工業及び印刷産業の振興、さらには地球環境保全に寄与することを目的に実施致しました。
2.実施内容
印刷企業から排出される化学物質を処理し、排出抑制するため、印刷作業場におけるVOC排出実態測定調査及びVOC排出処理装置仕様の具体化、処理装置導入に際しての法的制約事項調査、処理装置導入のための手順・確認事項調査等を行い、また洗浄工程におけるVOC排出抑制に向けた実態調査を行った上で、印刷産業における化学物質排出処理及び抑制装置の開発・導入促進の課題と提言をとりまとめ、報告書にしました。
具体的調査事項は次のとおりです。
中小規模の特殊グラビア印刷企業向けのVOC処理装置の開発促進及び導入促進の基礎資料を得るため、特殊グラビア印刷機からのVOC排出状況について、乾燥ユニットごとに排ガスの連続測定及び分析を行いました。
上記の連続測定・分析結果及び前年度実施したアンケートによる実態調査結果を踏まえ、中小規模の特殊グラビア印刷企業向けのVOC排出処理装置のシステム案をとりまとめ、仕様の具体化を図りました。
VOC排出処理装置導入に際しての法的制約事項を調査し、大気汚染防止法、騒音規制法、建築基準法等における該当事項をとりまとめました。
VOC排出処理装置導入に当たっての手順、確認事項について、導入のためのフローに沿いながら8つの手順(確認事項)に取りまとめました。
グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷における洗浄工程の実態を調査するとともに、VOC排出抑制装置の種類や実績等について整理を行いました。
上記結果から課題を抽出・整理するとともに、中小規模の特殊グラビア印刷企業向けVOC排出処理装置の導入促進及び洗浄工程のVOC排出抑制に向けた提言を取りまとめました。
また、この事業による成果は次のとおりです。
印刷産業における化学物質排出処理及び抑制装置についての導入促進の提言が行われたことにより、特に今までその導入が困難とされてきた中小規模の特殊グラビア印刷企業において、処理装置の具体的な導入方法・導入手順が明確になりました。
さらに印刷ユニットごとに可能な範囲で処理装置を導入するという従来になかった新システムが示され、低価格、省スペースという課題を克服した導入可能な具体的仕様が示されました。
また、洗浄工程におけるVOC排出抑制策がまとめられ、今後の取り組むべき方向性が示されました。
3.予想される事業実施効果
中小規模の印刷企業の印刷条件及び導入条件等の実情に即したVOC排出処理装置の仕様が具体的に示されたことにより、印刷機械メーカー、化学物質排出処理装置メーカー、その他周辺設備メーカーのVOC排出処理装置の開発設計のための重要な指針になるとともに、具体的導入手順も示され、その結果、中小印刷企業のVOC排出処理装置の導入が大幅に促進されると予想されます。また、新たに示された洗浄工程の排出抑制策の具体的提言により、VOCの排出抑制装置の開発が促され、環境保全に対応した新たな印刷関連機器及び洗浄機器の市場創出と地球環境保全が促進される効果が予想されます。
4.本事業により作成した印刷物等
「印刷産業における化学物質排出処理装置及び抑制装置導入に関する調査研究報告書」
(
全文/PDFファイル 8M
)
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